当社の従業員が、勤務中に交通事故を起こしたことで、当社が全額被害者に対する賠償金を支払いました。事故を起こした従業員の給与から、賠償金を差し引いても問題無いでしょうか。
質問
当社の従業員が、勤務中に交通事故を起こしたことで、当社が全額被害者に対する賠償金を支払いました。事故を起こした従業員の給与から、賠償金を差し引いても問題無いでしょうか。
回答
問題が2つありますので、それぞれよく検討し、慎重に対応してください。
問題の一つは、事故によって生じた賠償義務を、使用者と従業員がいかなる割合で負担しあうのか、という問題です。
従業員が職務中に起こした事故について、使用者がその賠償義務を負担した場合、常に全額を従業員に請求(求償)出来るわけではなく、事案に応じて合理的な範囲内でのみ請求(求償)が可能とされています。
もう一つの問題は、労働基準法の問題です。
賃金は全額払いが原則ですので、使用者が一方的に求償権の存在を理由に相殺することは原則として認められません(労働者が自由な意思に基づいて相殺を合意した場合は例外的に可能です)。
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