273 耳の構造
耳には、外耳、中耳、内耳の3つの部屋があります。
外界の音は、外耳より侵入し、鼓膜を振動させます。
鼓膜の振動は、中耳を通り、内耳の蝸牛内部に満たされているリンパ液に伝わり、ここで液体振動に変換されます。液体振動は、蝸牛奥部のラセン器官を刺激します。
刺激が、内耳神経によって大脳の聴覚中枢に伝えられ、人は音を感じるのです。
内耳の後方にある三半規管と前庭は、身体の平衡機能を担当しています。
それぞれが回転運動・直線運動に反応し、反射的に全身の随意筋・不随意筋をコントロールして、視覚・深部感覚・小脳の助けにより、身体の運動や頭の位置を正常に保持しています。
※耳介
耳介は、軟骨の折れ曲がるヒダにより、集音と音の方向性の確認に有効な役割を果たしています。
耳たぶは、ヒダの凸凹で音の違いを拾い、共鳴させることにより、音を外耳道に送り込んでいます。
耳介の後に手をかざすと、音が大きく聞こえるのですが、耳介は、集音作用の働きをしています。
※外耳道
成人で長さが3cm、くの字型に曲がり、奥に鼓膜が位置しています。
外耳道は、音を共鳴させ、鼓膜まで導く筒としての役目を果たしています。
入り口から1cmは、短毛により、虫などの異物が入らないようになっています。
そこには耳垢線が存在して、脂や耳垢を分泌しています。
※鼓膜
9×10mmの楕円形で、厚さ.1mm、外耳道の突き当たりに位置し、外耳道に対して、30°傾斜しており、空気の振動に敏感に反応して、振動しています。
※鼓室
鼓膜の内側から中耳となり、鼓膜の内側は、空気に満たされ、音を伝えるのに適した状態に保たれている鼓室です。
※耳小骨
鼓室の中は、左側から、つち骨(槌骨)、きぬた骨(砧骨骨)、あぶみ骨(鐙骨)の微少な3つの骨が関節で連結しており、3つの微少骨を耳小骨、連結を耳小骨連鎖と呼んでいます。
つち骨は一部が鼓膜に密着、あぶみ骨は、一部が、内耳の蝸牛の前庭窓にはまりこんでいて、耳小骨は、鼓膜の振動を内耳に伝える装置を形成しているのです。
外耳道からの音は、鼓膜と耳小骨の連鎖により、増強されて、内耳の液体に伝わっています。
耳小骨は、人体を構成している207個の骨の中では、最も小さい骨です。
※耳管
鼻の奥にある咽頭に連結しており、中耳内の気圧の変化を調整しています。
普段は閉じていますが、モノを飲み込む、欠伸をしたときに、耳管は開きます。
耳管の開閉により、中耳内の圧と大気圧を、一定に調節することができるのです。
高い山、飛行機で上昇すると、耳が詰まったような症状が出現します。
中耳と大気圧に差が生じ、鼓膜が引っ張られると、ツーンと詰まった感じになるのです。
唾を飲む、欠伸をすると、耳管が開き、圧力の調整が行われ、詰まった感じが無くなります。
唾を飲み込むと、両耳にゴックンという音を感じるのですが、これが耳管の開く音です。
※内耳
内耳は、音の感覚器である蝸牛と、身体の平衡感覚器である半規管と前庭で構成されています。
半規管は、からだのバランスを保持する役割を果たしています。
半規管は、3つ存在しているところから、三半規管と呼ばれています。
身体の平衡を維持し、運動の加速度を感じ、回転加速度を感じ取っています。
身体をグルグル回転させると、めまいがしてふらつきますが、これは、三半規管が刺激されたことによるものです。
※前庭
耳石器といわれる器官があり、重力・遠心力・直線加速度・頭の位置などの外部からの刺激を感じとっています。エレベーターで、上がり下がりの感覚を感じ取るのは耳石器です。
※蝸牛
音を感じ取る蝸牛の中は、リンパ液で満たされています。
中耳から伝えられた振動はここで液体の波に変化します。
液体の波は、有毛細胞によって電気信号に変換され、聴神経から大脳へ伝えられています。
外耳の外傷 耳介血腫 (じかいけっしゅ)
耳介は、軟骨の上に、軟骨膜と皮膚を貼り付けたような形であり、耳介が強く擦られると、皮膚と軟骨の間が剥がれて隙間ができ、そこに血液が溜まって、紫色に腫れ上がります。
溜まった血液=血腫が、軟骨への血液供給を遮り、軟骨は壊死して耳が変形するのです。
この変形は、力士耳、カリフラワー耳と呼ばれ、相撲、柔道、レスリング、ボクシング、ラグビーの選手によく見られるのですが、交通事故でも、歩行者、自転車やバイクの運転者に見られます。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。