172 橈骨遠位端骨折、コーレス骨折とスミス骨折

1)コーレス骨折

 

橈骨の遠位、つまり心臓より遠い部分ですから、印象としては、手首の骨折となります。

倒れたとき、手をついた際、橈骨遠位端骨折が生じますが、手のつき方で骨折の名前が違います。

転倒時に手の平をついて倒れたときは、Colles骨折、手の甲をついて倒れたときは、Smith骨折と呼ばれているのです。

 

手首に強い痛みがあり、短時間のうちに腫れて来ます。

手のひらをついての骨折では、食器のフォークを伏せて置いたような変形が見られます。

 

 

健側の手で支えないと、患側の手はブラブラ状態で力が入りません。

骨折や腫れで神経が圧迫され、親指~環指母指側1/2までの指が痺れることもあります。

 

 

正中神経麻痺を好発する部位です。

XPで確認でき、骨折部は、フォーク背様に変形がみられます。

以前は、麻酔下で徒手整復を行い、前腕の変形を起こさせないため上腕からギブス固定を行うのが主流でしたが、現在では、ロッキングプレートによる固定が一般的です。

 

 

プレート固定により、早期にリハビリを開始し、手関節の機能障害を防いでいます。

 

2)スミス骨折

 

 

転倒の際に、手の甲を地面について骨折すると、骨折部は手のひらの方向にズレます。

自転車のハンドルを持ったまま転んだときに骨折するのですが、これはスミス骨折と呼ばれています。

XPでは、骨折片は、コーレス骨折とは逆の手掌側に転位しています。

それ以外では、合併症、症状等はコーレス骨折と同じです。

 

橈骨遠位端骨折、コーレス骨折とスミス骨折における後遺障害のポイント

 

1)徒手整復後のギプス固定の治療法であれば、手関節の機能障害を残す可能性が高い事案となります。程度によって、10、12または14等級の認定可能性があります。

 

2)前腕骨は橈骨と尺骨で構成されており、手首のところで、2つの骨が橈尺関節を形成しています。

骨折による橈骨の背側の傾きが20°以上、橈骨が5mm以上の短縮変形をきたすと、この関節の機能に障害をもたらします。

手関節の疼痛、握力の低下、前腕の回内・回外制限等を発症するのです。

ロッキングプレートによる固定であっても、上記がキーポイントとなります。

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

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