159 フォルクマン拘縮
小学校低学年の上腕骨顆上骨折で、重大な合併症として発生するケースがあります。
骨折に伴う腫脹により、動脈の血流障害を生じ、前腕屈筋や正中神経・尺骨神経麻痺などをきたす病態で、見逃すと、筋肉の変性や神経麻痺が残り、大きな後遺障害を残します。
初期症状として有名な5つのPを注意深く観察しなければなりません。
①Pain(疼痛)
②Pallor(蒼白)
③Paresthesia(知覚障害)
④Paralysis(運動麻痺)
⑤Pulselessness(脈拍消失)
たとえば、小児の上腕骨顆上骨折のオペ後、お子様が骨折部のひどい痛みを訴え、手指が蒼白で、手首で脈がとれないようなケースにおいては、動脈閉鎖後、6~8時間で、フォルクマン拘縮が生じるので、この時間内に対処しないと、取り返しのつかないことになります。
治療先は、骨折の整復やギプスで圧迫などの阻血の要因を除去します。
これでも、改善が得られないときは、緊急的に筋膜切開を行い、内圧を減少させます。
フォルクマン拘縮における後遺障害の後遺障害のポイント
1)早期発見と壊死の防止が、正に後遺障害のポイントとなります。
2)フォルクマン拘縮では、最終的には、筋肉がカチカチに拘縮、正中神経麻痺・尺骨神経麻痺を発症、手は麻痺に特有の変形を示します。
立証は、神経伝達速度検査もしくは針筋電図検査で行います。
後遺障害は、1上肢の2関節の用廃で6級6号が、手指の用廃で7級7号が認定、等級は併合されるのですが、1上肢を手関節以上で亡失したものには及ばず、併合6級の認定となります。
3)フォルクマン拘縮が進み、筋肉の壊死に至ると、基本的に、治療法はありません。
陳旧性では、カチカチに線維化した筋肉を切除、再建手術が実施されていますが、予後は不良で、回復は厳しいようです。
あくまでも、発生予防を心掛けることとなります。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。