198 皮下気腫、縦隔気腫 (ひかきしゅ、じゅうかくきしゅ)
※胸膜 左右それぞれの肺および胸壁の内側を覆う2枚の薄い膜
※胸壁 皮膚から胸膜までの壁のようになっている部分で、肋骨や筋膜からなる部分
※胸郭 胸椎・肋骨・胸骨で囲まれた籠
※胸腔 肺と胸壁と横隔膜にはさまれた空間で、胸水がたまるところ
※縦隔 左右の肺の間の部分、心臓、食道、気管や心臓に通じる大血管などがあるところ
※気道 鼻腔・副鼻腔⇒咽頭⇒喉頭⇒気管⇒気管支⇒細気管支で構成された空気の通路
※肺 伸縮する風船のような器官
※肺胞 気道の先端にある袋でガス交換の場
※心膜 心臓を袋のように包んでいる膜で、心のうとも呼ばれる
※横隔膜 胸郭の下辺をなす筋肉。収縮・弛緩により肺の拡張・縮小を調節する呼吸筋
※腹腔 腹壁で囲まれ、内部に胃や腸などの消化器が存在する空間
※腹膜 胃、腸、肝臓などの腹部の臓器および腹壁の内側をおおう薄い膜
胸部外傷で、損傷した肺や気管から漏れた空気が、皮下組織にたまるのが皮下気腫です。
気管や気管支が断裂したときは、左右の肺に挟まれた部位=縦隔に漏れた空気がたまります。
これを縦隔気腫といいます。
これらは、交通事故外傷、特に胸部の打撲、高所からの転落、挟まれたことによる挟圧外傷で、肋骨・胸骨の骨折や、肺、気管、気管支、食道などが損傷することで発症しています。
皮下気腫では、胸や頚部に空気がたまり、その部位が膨らみ、強い痛みを訴えます。
症状としては、胸痛や呼吸困難を訴えることがあります。
縦隔気腫は、胸痛、呼吸困難、息切れ、チアノーゼの症状があり、多くで、血痰が確認されています。
いずれも、胸部XP、CT検査で確定診断され、呼吸困難はパルスオキシメーターの測定値、SpO2で確認されています。
軽度なものは、2~3週間の安静で治癒していますが、進行性で、拡がりの大きい皮下気腫では、皮膚切開による排気が実施されています。
縦隔気腫では、その原因になる気管・気管支破裂、食道穿孔・破裂が精査され、内科的な治療で改善が得られないときは、損傷部位の縫合術が必要となります。
※SpO2
パルスオキシメーターの測定値をSpO2と言います。
血液中の酸素の大半は、健康であれば99%近くは、赤血球の中のヘモグロビンによって運ばれます。
血液中のヘモグロビンのうち、実際に酸素を運んでいるヘモグロビンの比率のことであり、単位は%で表示されています。
皮下気腫、縦隔気腫における後遺障害のポイント
1)皮下気腫もしくは縦隔気腫の傷病名であっても、呼吸障害を残す重症例は少ないようです。
呼吸障害を残しているときは、肺挫傷のところで説明した、以下の3つの検査で立証します。
①動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果
②スパイロメトリーの結果及び呼吸困難の程度
③運動負荷試験の結果
縦隔気腫では、その原因に、気管・気管支破裂や食道穿孔・破裂が予想されます。
こうなると、後遺障害は別のアプローチで立証しなければなりません。
具体的には、気管・気管支破裂や食道穿孔・破裂で説明しています。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。