99 坐骨神経麻痺(ざこつしんけいまひ)
坐骨神経は、大腿骨頭のすぐ後方を走行しており、股関節の挫滅的な後方脱臼骨折、仙骨の縦断骨折であれば、断裂する可能性があります。
腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニアに伴って発症することがありますが、ほとんどは、断裂ではなく、圧迫されたことによる絞扼性神経障害もしくは座骨神経痛ですから、この因子を除去すれば、改善するようです。
坐骨神経は大腿の裏側と下腿の一部、そして足の裏の感覚を支配していますから、坐骨神経麻痺では、ふくらはぎの裏側や足の裏の痺れや感覚の鈍麻、うずき、灼熱感、疼痛を発症し、膝や足の脱力感を訴え、歩行困難となります。
断裂による重症例では、足関節と足趾の自動運動が不能となり、腓骨神経麻痺と同じで下垂足を示します、膝の自動による屈曲運動ができなくなります。
坐骨神経麻痺の傷病名が診断されても、坐骨神経の圧迫や絞扼が原因であるならば、この因子を除去すれば、時間はかかりますが、改善が果たせるようです。
股関節の挫滅的な後方脱臼骨折、仙骨の縦断骨折に合併して完全断裂をしたときは、深刻な後遺障害を残します。
坐骨神経麻痺における後遺障害のポイント
①完全麻痺では、後遺障害等級は、膝関節の屈曲が不能、足関節が下垂足のときは、膝関節と足関節の用を廃したものとして6級7号が認定されます。
足趾の全ての用廃は、9級15号に該当するのですが、これを併合すると、併合5級となります。
一下肢を足関節以上で失ったもの、5級5号にはおよばず、序列調整され、6級相当となります。
②立証のための必要な検査
□筋電図と神経伝達速度検査、針筋電図検査で神経麻痺を立証すること、
□ラセーグテストで30°以下の挙上、膝屈曲が不能であること、
□アキレス腱反射の減弱もしくは消失、足関節の底屈不能、足を内側に曲げる内反運動が不能
□MRI検査
交通事故受傷では、股関節の挫滅的な後方脱臼骨折、仙骨の縦断骨折に限定して断裂することが予想されます。
腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニアを原因として発症するものは、多くが坐骨神経痛です。
座骨神経痛であれば、時間はかかりますが、改善が得られます。
したがって、後遺障害の対象にはなりません。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。