88 足根骨の骨折 立方骨(りっぽうこつ)圧迫骨折=くるみ割り骨折
立方骨は、足の甲の真ん中から、やや外側に位置しており、前は小指と薬指の根元の中足骨、後は、かかとの骨=踵骨と連結して関節を形成しています。
強い外返し捻挫により、立方骨は、踵骨と第4、5中足骨でクルミのように挟まれ、踵骨・立方骨関節面の軟骨下骨が潰されて骨折するのです。
立方骨は足のアーチの要となる骨で、体重が乗ったときに、他の骨とともに衝撃を吸収する役割を果たしています。立方骨にゆがみが生じると足全体の構造が崩れ、扁平足をきたします。
交通事故では、自転車やバイクVS自動車の出合い頭衝突で、生じることのある症例です。 骨折部の疼痛で12級の可能性もあります。
XPでは、踵・立方骨関節面に沿って骨折線が認められます。
初期のXPで発見できないときでも、骨萎縮が始まる3週間前後のXPで確認することができます。
疲労骨折であれば、交通事故外傷として後遺障害の対象にはなりません。
また、主として外返し捻挫を解説してきましたが、内返し捻挫の受傷機転では、二分靭帯による立方骨剥離骨折を発症することがあります。
立方骨圧迫骨折=くるみ割り骨折における後遺障害のポイント
1)大きな捻挫として見過ごされることが多い
立方骨圧迫骨折は、大きな捻挫として見過ごされ、放置されることが多いのです。
足関節捻挫と診断されたものの、疼痛が続いており、歩行困難をきたしているときには、立方骨骨折、踵骨前方突起骨折を疑い、専門医を受診した方が安心です。
2)受傷直後に、立方骨骨折が診断され、徒手整復後、ギプス固定、その後、硬性アーチサポートで外側縦アーチが保持されていれば、平均的には3カ月前後で骨癒合が得られ、骨折部に疼痛を残すことも扁平足に発展することもありません。
つまり、非可逆的な骨折でもない限り、後遺障害を残さないことが多いようです。
ところが、大きな足関節捻挫と診断され、湿布程度の処置では、リハビリを続けても疼痛の改善はなく、ひどい痛みが改善されないためCT撮影で立方骨骨折が発見されても、後遺障害が残ってしまうことが多いでしょう。
XP、CT 3Dで変形性骨癒合や扁平足を立証できるかが問題になります。これらが丁寧に立証されると、12級13号の認定が想定されます。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。