54 骨折の分類
交通事故の外傷骨折は、鎖骨、肋骨、指骨、鼻骨、尾骨、橈骨、尺骨、脛骨、腓骨、脊椎骨、頭蓋骨等で発生しています。以下では、骨折の分類について解説します。
1)開放性による分類
閉鎖性と開放性による分類で、体内で骨折が起きているものを、単純骨折=閉鎖骨折、骨折した骨が皮膚を突き破り体外に露出しているものを複雑骨折=開放骨折と呼んでいます。
開放骨折では、骨髄炎等の感染症の危険が高く、単純骨折に比較して重傷です。
折れ方が複雑な骨折だから、複雑骨折というのは、明らかな誤解です。
複雑な骨折は、粉砕骨折、破裂骨折などと呼ばれています。
かかる誤解を生じないためには、単純、複雑ではなく、閉鎖骨折と開放骨折と表現すべきです。
2)骨折の方向による分類
骨折の形状により、横骨折、縦骨折、斜骨折、螺旋骨折と呼ばれています。
3)骨折の部位による分類
これは診断書に傷病名として記載されますから覚えておかなければなりません。
①骨幹部骨折
鎖骨、上腕骨、前腕骨、大腿骨、脛・腓骨のど真ん中の骨折のことです。
②骨端部骨折 (遠位端骨折と近位端骨折)
上・下肢では、体幹(体の中心)に近い方の骨端を近位端、遠い方の骨端を遠位端とし、体幹部では口に近い方の骨端を近位端、肛門に近い方の骨端を遠位端と決められています。
③関節骨折
肩関節の脱臼骨折、膝関節の高原骨折もしくはプラトー骨折、股関節の後方脱臼骨折が典型例です。
関節の骨折は、可動域に制限を残すかどうかという問題を多く生じさせていると感じます。
4)外力による分類
①せん断骨折
骨の長軸に対して垂直方向に力が働いたことにより生じた骨折で、横骨折が典型例です。
②圧迫骨折
椎体骨に発生する骨折で、上下方向に過度に圧迫されたことにより生じた骨折です。
腰椎や胸椎などによく見られる診断でしょうか。
③捻転骨折
骨に対し、捻る力が働いたことにより生じた骨折で、螺旋骨折が典型例です。
④屈曲骨折
骨に対し、折り曲げる力が働いたことにより生じた骨折で、二重骨折など複合骨折が典型例です。
⑤剥離骨折
骨に対しては、外力が働いていないが、筋・腱・靭帯などの牽引力によって、その付着部の骨が引き裂かれて生じた骨折のことです。 靱帯の付着部が剥がれただけでも剥離骨折と呼んでいます。
その他、骨折の原因による分類として、外傷骨折、疲労骨折、病的骨折があり、
完全性による分類としては完全骨折と不全骨折があります。
不全骨折とは、骨が連続性を失わない状態の骨折のことで、亀裂骨折や、骨膜に損傷がない骨膜下骨折が典型例です。治療は要しますが、後遺症を残すケースは少ないでしょう。
最後に、粉砕骨折と破裂骨折については、骨折部位が3つ以上の骨片に分離したときは、粉砕骨折と診断されています。
固定術が必要な重症例ですが、破裂骨折とは、前後の椎体骨が圧迫骨折し、椎体の後方部が突出して脊柱管を圧迫している損傷のことで、破裂という表現から想像するイメージとは少し異なるかもしれません。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。