16 手根骨の骨折 有頭骨骨折(ゆうとうこつこっせつ)
有頭骨とは、中指の中手骨の真下にある手根骨の1つで、右手では有鈎骨の左横に位置しています。
交通事故では、転倒した際に手をつく、あるいは、直接の打撲で骨折することが多く、自転車やバイクの事故で発生することがあります。
有頭骨の骨折では、「手首」の可動域制限と運動時の疼痛を残すことが予想されます。
有頭骨骨折における後遺障害のポイント
1)早期に、画像で立証された確定診断を得ること
手根骨は8つの骨で構成されているのですが、交通事故では、舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、有鉤骨、有頭骨で骨折が多発しています。
これらの複数が骨折・脱臼していることもあります。
被害者よりは、激痛の訴えがなされることが少なく、XPでは確認しにくいのを特徴としています。
訴えに乏しく、初診のXPで確認されないまま、3、4カ月が経過すると、その後に骨折が発見されても、損保料率機構調査事務所は本件事故との因果関係を疑い、これを被害者側で立証できないときは、骨折が認められているのに、非該当となることになります。こうなると、訴訟以外に後遺症を適正に認定してもらう方法は無くなると言えます。
この部分の骨折を見逃さないようにするには、症状が疑われる場合に、早期、受傷2カ月以内に、手の外科専門医を探し出して、受診しなければなりません。
参考までに、日本手外科学会のホームページでは、全国の専門医が紹介されています。
http://www.jssh.or.jp/
2)近年、手根骨の骨折に対しては、積極的に手術による固定が実施されています。
骨折の形状、合併症状から、手術でどこまで改善するのかを検証しておく必要があります。
固定術を受けた結果、手関節の可動域が背屈60°掌屈80°となれば、運動制限による支障が認められるのに、4分の3を超えており、機能障害としての12級6号は非該当になります。
骨折部の変形癒合を立証し、痛みを訴えても、神経症状で14級9号となります。
形式的な基準によって12級に該当しないが、実態が12級に極めて近似すると判断される場合には、訴訟によって解決する他ないでしょう。
3DCT画像、症状と支障の実態を検証した上で、症状固定を優先させることも十分予想されます。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。