尺骨茎状突起骨折 (しゃっこつけいじょうとっきこっせつ)
尺骨の尖端にある突起の部分の骨折です。初診時は、見落とされることもしばしばですが、癒合しなくても、痛みが残らないことも多いようです。症状が残る場合は、手首を回すと痛みが出ます。橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)より、骨癒合が悪く、ギプス固定期間を長くする必要があります。
尺骨は、前腕内側=小指側にある長管骨で、平均的には、男約24cm、女21~22cmです。
尺骨は、橈骨とは逆に上端部が大きく下端部が細くなっており、上端の滑車切痕で上腕骨滑車と肘関節を形成しています。
手関節の小指側で、少し飛び出た部分を尺骨茎状突起と呼んでいます。
交通事故では、自転車で交差点を横断中に自動車の衝突を受け転倒したなどで、発症しています。
尺骨茎状突起骨折そして偽関節では、茎状突起上部にあるTFCC損傷を合併することが多く、遠位橈尺関節に不安定性を生じ、手関節に可動域制限と疼痛が発生します。
尺骨茎状突起が骨折し、偽関節化しています。
XPで尺骨茎状突起骨折・偽関節は診断できますが、TFCC損傷の診断となれば、MRIもしくは関節造影検査が必要となります。
治療は、遠位橈尺関節に不安定性が認められるときは、尺骨茎状突起骨片の固定で対応、TFCC損傷を合併しているときは、関節鏡により縫合が行われています。
骨折・偽関節で痛みが激しいときは、骨片の摘出術が実施されます。
尺骨茎状突起骨折における後遺障害のポイント
1) 手関節の可動域制限は、茎状突起やTFCCの器質的損傷をMRIで立証すれば、認められます。
手関節の機能障害では、健側の4分の3以下で、12級6号です。
2) 手関節の機能障害の他、偽関節を立証することで、尺骨の変形障害として併合等級の獲得を想定します。
3) 橈骨または尺骨の一方に偽関節を残し、物を保持し、移動させるのに、硬性補装具を必要としないものは、長管骨に変形を残すものとして12級8号が認定されます。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。