296 股関節唇損傷
関節唇は、肩と股関節にだけに存在するもので、環状の線維軟骨組織で形成されており、関節の安定性を高める、滑り止めの役割を果たしています。
股関節唇は、股関節内の大腿骨頭が、外に外れるのを防ぐ土手のような役割をしているのです。
交通事故では、歩行者、自転車、バイクなど、転倒時に、股関節が大きく広げられることにより、関節唇に亀裂が発生しています。
股関節唇損傷が、そのまま放置されると、亀裂が大きくなるばかりでなく、裂けた軟骨が関節の中に入り込んでスムーズな動きを妨げるようになり、さらには、入り込んだ軟骨が股関節表面を傷つけ、症状は深刻化していき、やがては、オペが必要となります。
股関節唇損傷では、脚を動かす動作で疼痛が走り、引っかかるような症状を訴えます。
あぐらをかく、股関節を外側に開く運動=外旋、内側へ倒すような運動=内旋するときに疼痛が生じ、日常的には、靴下を履く、爪を切るなどの股関節を深く曲げるような動作で疼痛が発生します。
重症では、関節鏡手術などの対象となります。
股関節唇損傷における後遺障害のポイント
股関節唇損傷は、MRIで立証します。
平均的には、股関節の可動域で12級7号が認定されています。
4)股関節の可動域が4分の3以上で、機能障害に該当しないときでも、疼痛の神経症状で12級13号が認定されることがあります。
5)放置された結果、股関節唇の裂けた軟骨が関節の中に入り込み、軟骨が股関節表面を傷つけているとき、変形性股関節症と診断されたときは、関節鏡術ではなく、人工関節置換術の対象となります。
人工関節の置換により、10級11号が想定されます。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。