294 肉離れ、筋違いと捻挫について
肉離れ、筋違いの正しい傷病名は、筋挫傷です。
筋挫傷とは、筋肉や腱が打撃や無理に引き伸ばされることで生じる外傷です。
筋肉組織をやや伸ばした軽度なもの、組織が完全断裂する重度なものまで、拡がりがあります。
※腱とは、筋肉を骨に付着させる組織のことです。
交通事故では、転倒時の打撲などで、筋肉を損傷し、筋肉の腫れや内出血が起こります。
打撲部の痛み、腫れ、圧痛があり、太ももの前の筋、大腿四頭筋であれば、膝の屈曲が制限され、大腿の後部の筋、ハムストリングスであれば、膝の伸展が制限、ふくらはぎの筋、腓腹筋であれば、足関節の背屈が制限されます。
受傷機転、損傷した筋肉の圧痛部位から、確定診断が行われています。
損傷のレベル、範囲、血腫の存在を確認するには、エコー検査やMRIが有用です。
さて、捻挫とは、靭帯の外傷を意味しています。
靭帯は骨と骨をつないでいる組織で、関節内に存在しています。
靭帯には、関節が正常範囲を越えて曲がる、伸ばされることのないように安定させる役割があります。
例えば、足首の外側の関節には、3本の靭帯があります。
この靭帯は、足部が前に突出する、内側に曲がり過ぎることのないようにシッカリとつなぎ止めていますが、外側からの着地で、無理に体重が掛かると、靭帯だけでは支え切れなくなって、伸びる、断裂することになり、これを足関節捻挫と呼んでいます。
このような靱帯の外傷は、肘や膝など体内の他の関節でも発生しています。
発生直後から痛みのために歩行が困難となります。
損傷を受けた筋の部位に圧痛があり、ハムストリングスでは、膝の屈曲運動で抵抗を加えると痛みが増強し、ハムストリングスを伸ばすような動作でも、痛みが強くなります。
損傷程度や範囲、血腫の存在の判断には超音波検査やMRIが有用です。
腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷
交通事故では、自転車、バイクからの転倒による打撲を原因としています。
腸腰筋は、腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉群、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉で構成されています。
内臓と脊椎の間に存在し、主として、股関節を屈曲させる働きをしていますが、同時に、腰椎のS字型を維持する機能も併せ持っています。
腰椎椎体骨と大腿骨の間に腸腰筋と呼ばれる大きな筋肉があります。
腸腰筋挫傷による出血は、股関節〜下腹部の痛み、足を伸ばせないなどの症状が出現します。
出血付近の神経を圧迫し、下肢に神経障害、知覚麻痺や痺れの症状をきたすこともあります。
大きな筋肉であることから、大量出血が認められることもあります。
腰腸筋挫傷における後遺障害のポイント
1)肉離れ、筋違いで後遺障害を残すことは、通常は考えられませんが、腰腸筋挫傷では、12級13号、12級7号が認定されるケースがあります。筋挫傷による炎症や鬱血が長期におよぶと、筋肉細胞が増殖し、硬化します(硬結)が、他覚所見です。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。