284 鼻骨々折 (びこつこっせつ)
鼻骨は、メガネのブリッジが接する、鼻のつけ根部分で、眉間にある三角屋根の形をした薄い骨です。
交通事故では、ハンドルに鼻をぶつけて骨折することが多かったのですが、シートベルトが普及した今、これは激減し、現在は、もっぱら、バイク、自転車の衝突、転倒で発症しています。
外鼻の下部分の3分の2は軟骨でできており、骨折しにくいのですが、鼻骨は堅く折れやすいのです。
さらに、左右の鼻を分けている壁、鼻中隔の骨折を合併することが多いので要注意です。
鼻骨は薄く、肘が鼻に衝突したなど、比較的弱い力でも骨折しています。
鼻骨骨折では、
①鼻血、
②鼻筋が曲がる、斜鼻、
③鼻が低くなる鞍鼻、
④鼻が詰まる、鼻閉、
これらの症状が出現します。
骨折の診断はXPで可能ですが、折れ方の詳細は、CTで確認しなければなりません。
鼻血や鼻閉は腫れが引けば治まるので、オペをするかどうかは、鼻の変形の程度で決まります。
鼻骨は薄いものの、再癒合しやすいので、受傷後4~10日でオペが実施されています。
オペでは、皮膚を切開することなく、鼻の穴に鉗子を入れてずれた骨を元に整復します。
鼻骨用スプリントによる外固定とガーゼによる内固定が行われています。
オペ後は数日間、ガーゼの鼻栓を入れ、2週間程度、専用のギプスを当てておきます。
※斜鼻 (しゃび)
鼻骨の側面を打撃したときは、鼻骨が横にずれた形となり、斜鼻と呼ばれています。
鼻中隔も骨折して横にずれることが多く、鼻は曲がり、ずれた方の鼻が詰まります。
※鞍鼻 (あんび)
打撃が鼻骨の上から働き、鼻骨が下に落ちる、脱臼と陥没を起こします。
鼻の付け根が陥没している形状を鞍鼻と呼んでいます。
鼻骨骨折における後遺障害のポイント
1)サッカー、ラグビーなどのコンタクトスポーツでも、鼻骨骨折は多発していますが、動体視力が良く、日頃から身体を鍛えていることもあって、大多数は軽傷で、後遺障害を残しません。
ところが、交通事故では、想定外の衝撃力もあって、重症例を多く経験しています。
鼻血、鼻筋が曲がる、斜鼻、鼻が低くなる鞍鼻、鼻が詰まる、鼻閉など、事故直後から多彩な症状が出現しますが、鼻血や鼻閉は、オペにより治癒しています。
しかし、斜鼻や鞍鼻となると、完治未満で、見た目の後遺障害を残すことが多いのです。
2)被害者がオペをためらう、耳鼻咽喉科の医師も積極的ではなく、形成外科への転院指示が遅れたときは、やや目立つ変形を残した状態で症状固定を迎えます。整形外科による整復の結果次第で認定結果が決定されます。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。