250 ホルネル症候群
ホルネル症候群では、
①片側のまぶたが垂れ下がり、
②瞳孔が収縮して、
③発汗が減少します。
交通事故では、眼と脳を結ぶ神経線維が分断されることが原因で発症しています。
眼と脳をつなぐ神経線維のいくつかは環状になっており、それらの神経線維は脳から脊髄に沿って下行、脊髄を下ったあと、胸部から出て、頚動脈のそばを通って上へ戻り、頭蓋を通って、眼に到達しているのですが、神経線維がこの経路のどこかで分断されると、ホルネル症候群が起こります。
ホルネル症候群は、交通事故外傷による頭、脳、頚部、または脊髄の疾患、大動脈や頚動脈の解離、などが原因で発症すると報告されています。
医師は、症状が出ている側の眼にコカインを少量含む点眼薬をさし、30分を経過しても瞳孔が広がらなければ、ホルネル症候群と診断します。
その後、他の点眼薬による検査が実施され、それらの点眼薬に瞳孔がどのように反応するかを見ることで、神経損傷のおよその位置がわかります。
脳、脊髄、胸部、頚部などのCT、MRI検査も必要となります。
原因が特定されれば、その治療が開始されますが、ホルネル症候群そのものに対する具体的な治療法はありません。
ホルネル症候群における後遺障害の後遺症害のポイント
1)眼瞼下垂について
後遺障害の、まぶたに著しい運動障害を残すものとは、まぶたを閉じたときに、角膜を完全に覆えないもので、兎眼、まぶたを開いたときに、瞳孔を覆うもので、これは、眼瞼下垂と呼ばれています。
いずれも、単眼で12級2号、両眼で11級2号が認定されています。
上のイラストにあるように、動眼神経麻痺に比較するのであれば、眼瞼下垂のレベルは軽度であり、上記の認定基準に該当するかは、ボーダーラインです。
2)縮瞳について
瞳孔の対光反射は認められるが不十分であり、羞名を訴え労働に支障を来すものは、単眼で14級相当、両眼で12級相当が認定されます。
動眼神経麻痺に比較すれば軽度と解説していますが、正面視では、まぶたと瞳の明らかな異常が確認できるレベルであり、実務上は、醜状障害として9級16号、12級14号を目指すことになります。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。