62 脊柱の破裂骨折
脊柱の圧迫骨折は、椎体の前方壁が楔状骨折するもので、多くは、脊髄神経には影響を与えません。
ところが、破裂骨折は椎体の前方の壁だけではなく、後方の壁も圧迫骨折しており、交通事故では、ほとんどのケースで、脊髄症状、麻痺、シビレ、脚の痛みなど、重篤な症状を示します。
これらは胸椎下部~腰椎上部に多く発生しています。
上記のイラストでは、グレード3の右側に匹敵するものです。
通常はXPとMRI検査が実施されています。
骨の形が保たれていても、MRIでは輝度に変化があり、骨折と診断できます。
複数の椎体骨折であっても、MRIでは、陳旧性骨折なのか、新鮮骨折なのか、診断ができます。
交通事故による脊柱の破裂骨折では、ほとんどが、緊急手術による固定が選択されています。
骨粗鬆症が進行している高齢者の破裂骨折では、経皮的椎体形成術が行われています。
骨折した椎体の中に骨セメントを注入して椎体を安定させるというもので、椎体の中に挿入するものには、セメントのほか、リン酸カルシウム骨セメント、ハイドロキシアパタイト=骨の主成分のブロックなどがあります。
脊柱の破裂骨折における後遺障害のポイント
1)脊柱の破裂骨折では、多くが、受傷直後に緊急オペで固定されています。
固定術を受けており、11級7号は、ほぼ自動的に認定されるのですが、それが著しい変形なのか、中程度の変形であるのか、つまり、6級5号、もしくは8級2号の可能性を検証することになります。
同じことは、脊柱の運動障害の観点からも、アプローチをしなければなりません。
2)脊柱の破裂骨折で固定術が実施された背景には、脊髄損傷を最小限にする目的があります。
術後の被害者に、上・下肢の麻痺、強烈な痺れ、上・下肢の疼痛、排尿障害など、重篤な脊髄症状が残存していれば、神経系統の機能障害で等級の獲得を目指す必要があります。
障害の程度により、9級10号、7級4号、5級2号が選択されています。
膀胱機能障害は、併合の対象となります。
後遺障害の立証では、後遺障害診断書以外に、「脊髄症状判定用」 の用紙を提出し、肩・肘機能、手指機能、下肢機能、上肢・下肢・体幹の知覚機能、膀胱機能、日常生活状況について、検査と結果の記載をお願いしなければなりません。
排尿障害は、ウロダイナミクス検査で立証することになります。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。