53 手指の欠損について
手指の欠損障害による後遺障害等級 | |
3級5号 | 両手の手指の全部を失ったもの
母指にあっては指節間関節、 その他の指にあっては近位指節間関節以上を失ったもの、 |
6級8号 | 1手の5の手指または親指を含み4の手指を失ったもの、 |
7級6号 | 1手の親指を含み3の手指を失ったものまたは親指以外の4の手指を失ったもの、 |
8級3号 | 1手の親指を含み2の手指を失ったものまたは親指以外の3の手指を失ったもの、 |
9級12号 | 1手の親指または親指以外の2の手指を失ったもの、 |
11級8号 | 1手の人差し指、中指または薬指を失ったもの、 |
12級9号 | 1手の小指を失ったもの、 |
13級7号 | 1手の親指の指骨の一部を失ったもの、
1指骨の一部を失ったこと、その程度は1指骨の一部を失ったことがXPによって明確であるものおよび遊離骨片が認められるものを説明しています。 ただし、その程度が手指の末節骨の長さの2分の1以上を失った場合は、手指の用を廃したものとなる、 |
14級6号 | 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの、 |
鋭利な刃物で、スパッと切り落としたような切断の傷害では、血管や神経の切り口も綺麗で、再接着の成功率は高いのですが、それに比べ、何かに巻き込まれ指肢を切断してしまった引き抜き切断は、血管も神経もズタズタで、再接着の成功率は、低いです。当然のことですが、切断肢の止血時間も、再接着には重大な影響があります。
再接着は、専門医の領域で、現在はマイクロサージャリー、顕微鏡下での手術により、細い神経や血管の接合術が行われているようです。
手指は親指、人差し指、中指、環指=薬指、小指の5本で構成されています。機能的な面で、一番大切なのは親指です(次に大事なのが小指といわれています。)。後遺障害の認定においても、手指によって区別して認定されています。
親指は手指全体の機能の40%を占めるとされており、これを失うと後遺障害等級も9級12号が認定されます。
親指と小指でものを挟めるだけで、その手の能力は高まると言われており、小指の欠損は、格上げされ、12級9号が認定されています。
小指と環指はパワーグリップの主役をなす指です。
小指の一部を失うと物を力強く握れなくなります。
3番目に大事なのは環指=薬指で、等級序列では2番目、11級6号が認定されています。
人差し指、中指、環指=薬指の切断は、同列の扱いです。
4番目に大事なのは中指で、優先順位の最後は人差し指とされています。
確かに人差し指は日常ではあまり使わないのかもしれません。
もっとも、PCを使用するような被害者にとっては命取りです。この場合、形式的な自賠の喪失率では不十分なので、逸失利益については、裁判で具体的に争う必要があるかもしれません。
手指を失ったものとは、親指では、指節間関節=IPより先、その他の指では、近位指節間関節=PIPより先となります。
親指以外では、第1関節=DIPより先を失っても、14級6号が認定されるに過ぎません。
このケースでは、DIPより先の2分の1以上を失っていれば、14級6号の認定です。
手指の欠損における後遺障害のポイント
症状固定時期については、切断は、非可逆的損傷ですから6カ月を待つ必要はありません。
切断肢の断端形成が完了、幻肢痛が改善したときが、症状固定のタイミングとなります。
もっとも、症状固定によるデメリットもあります(治療費や通院慰謝料)ので、医師とも相談の上、もっとも被害回復に適切なタイミングを計る必要があります。
断端形成とは、切断端を皮膚で覆う形成術のことです。
手指を切断することで、存在しないはずの部分に感覚を感じることがあり、切断患者の多く、50~80%に、その症状が認められていると言われています。
感覚を感じることを幻視と言い、幻視部分が痛むときは、幻肢痛と言います。
痛みは、神経の切断後に脳に起こる変化が原因であるという説、
神経の断端からの刺激が脳に伝わって痛みを起こすという説、
心理的原因説などが議論されていますが、原因不明の状態が続いています。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。