256 前房出血 (ぜんぼうしゅっけつ)
打撲による前房出血
前房出血とは、外傷により角膜裏面と虹彩の根元が傷つき、出血するものです。
角膜と虹彩の間の液体が充満している空間を前房と言いますが、そこに流出した血液が溜まります。
程度によりますが、症状が長引くと視力障害をきたすことがあります。
交通事故では、眼に対する鈍的な打撲で、眼球が陥没し、虹彩や毛様体が傷ついて出血します。
眼球破裂となったとポイント、虹彩や毛様体が傷ついて前房出血が起こります。
鈍的外傷の直後から、程度の軽いものでは、まぶしさ、重症のものでは視力の低下が認められます。
前房出血の症状は、外傷の直後、虹彩から出血した血液が前房全体に散らばり、しばらくすると下部の方へ溜まります。
前房出血がおこると、光が当たると眩しさや痛みを感じます。
出血が少ないときは、見た目では分からないこともありますが、出血が多いときは、前房全体が血液で満たされる状態になります。
眼球破裂、異物の有無をCTや超音波検査で確認、視力・眼圧・細隙灯顕微鏡検査にて眼底検査を行います。
前房出血における後遺障害のポイント
1)再出血をしなければ、予後は良好で、3週間程度で後遺障害を残すことなく治癒するようです。
2)視力障害を残したときは、視力は、万国式試視力表で検査します。
等級表で説明する視力とは、裸眼視力ではなく、矯正視力のことです。
矯正視力とは、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ等の装用で得られた視力のことですが、角膜損傷などにより、眼鏡による矯正が不可能で、コンタクトレンズに限り矯正ができるときは、裸眼視力で後遺障害等級が認定されています。
眼の直接の外傷による視力障害は、前眼部・中間透光体・眼底部の検査で立証します。
スリット検査 直像鏡
前眼部と中間透光体の異常は、スリット検査で調べます。
眼底部の異常は、直像鏡で検査します。
視力検査は先ず、オートレフで裸眼の正確な状態を検査します。
例えば、水晶体に外傷性の異常があれば、エラーで表示されるのです。
その後、万国式試視力検査で裸眼視力と矯正視力を計測します。
オートレフ
前眼部・中間透光体・眼底部に器質的損傷が認められるとき、つまり、眼の直接の外傷は、先の検査結果を添付すれば後遺障害診断は完了します。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。